2024-05

 

透明な蝶々

真っ白い場所で描いていました。 僕の居場所でした。 ある日僕は外の光が綺麗で、窓を開けてしまいました。 隙間から、風にのって花の種がふわふわと、それから、見たこともない、青く発光する蝶々が飛んできました。 可愛くて、綺麗で、大切でした。 微...
 

触れられる光に背いて

手に触れれば感触があり、心の奥にまで届く様な、美しい光をこの目で感じられるのに、わざわざ仮想空間に、形を表現しようとしている自分を不思議に思いました。 実態の無いまっさらな場所に、理想を創造できる自分を感じることで、この息苦しさから逃げ出そ...
 

適当に作った迷路

価値を削って、大量に生み出せばいつも限界で、 価値が認められれば、今度は大人の欲望に巻き込まれ。 どこへ向かえばいい。
 

当たり前の喪失

普通とされる生き方を私はできないのだと、痛いほど知ってきた。 それなのに諦めきれずに何度も夢を抱いて、もがいて生きてきた。 人生の前半を捨ててでも、辿りつきたかった。 諦めようか、もう。 これでは私が死んでしまう。 そんな私も、見失いそうな...
 

呼吸をする様に描くのに

無心で描けるのに、よそ見をしてぶれた途端、できなくなる。 鉛筆を、筆を、手に握っていることがとても自然な毎日が好きだ。 描かなくてはいけないとか、絵が楽しいとか、辛いとかも無く、 私が生きているから、絵が生まれていくだけのこと。
 

追って逃げたい、お年頃

7歳くらいの男の子が、とぼとぼと道を歩いていた。 だいぶ先に父親らしき人の姿がある。 この距離感はいったい… 父親が道の角に差し掛かった頃、男の子はハッとして急に振り返り、すぐ後ろにいた私とぶつかりそうになった。 私を避けて、楽しそうにかけ...
 

淀む空

願いが叶う時代 欲望は天に昇り 前よりもずっと 空は重く淀むようになりました。 わたしは朝日を見たいのです。
 

現実至上主義、やがて雨。

限られた時間を無駄にし続けている。 必死に描いて、大切なものを失っている。 定められた承認のルールが価値を束縛する。 重い。 ロープに掛かった者はそのうち締め付けられて破裂するんだ。 けれどルールに乗らなければ、存在しないも同然になる。 本...
 

∞週目の18時

本当は彼女しかいなくて、彼しかいません。 きみしかいなくて、私しかいません。 眩しいくらいに、どこまでも、ただ、ひとつだけ。 それなのに優しいのは、そこに全てが、生きているから。
 

画家の社会的信用

絵描きの社会的な信用はどこにあるのでしょうか。 知名度、受賞歴、絵が売れた値段、どんな美術館で展示されたか どのあたりに位置すれば、信用に値するのかな。