2024-09

 

綿毛

最近建てられた新築の家。 玄関前で洗車をする父親。 そのすぐそばで、シャワーヘッド付きのホースから水を出して、遊んでいる男の子。 上を見上げたら母親が洗濯物を干していた。 白い外壁に反射する空気が眩しい。 少し涼しくなった風に乗って、何の植...
 

青い髪

綺麗な青に染めるには、黒が真っ白になるぐらい色を抜かないと無理だろうな。 自分と同じくらいの長さの、綺麗な青い髪を見て、夢の中なのに艶々と輝いているのが綺麗で憧れた。 ありのままの姿は不恰好で愛おしいから、きっと着飾って隠すんだ。 まだ外は...
 

「さされたらどうしよう…」 「どうする?ずっとここに、隠れてはいられないでしょう。」 不安を和らげようと、きみの身体をさすりながら、たぶんそうなるのは僕のほうだろうなと思った。 あぁ。やだなぁ。 痛いのは嫌い。 関係のないことにすっかり巻き...
 

隙間から虹色の煙が漏れ出ている。 甘くて、幸せで、変な匂いがした。 外のことに興味が持てない。 誰だかわからなくなった人の絵を見て 「綺麗だね」なんて言うんだろうから。
 

たまご

殻は何を使って、作ればいいだろう。 中味が潰れないように。 悩んでいるのは私が少しは、優しくなれた証でしょうか。
 

朝の空気

包みたいのだと思いました。 ただそこにある空気のように、存在することに気づかなくてもいいし、けれど、微かに触れたならば風が吹いて、一瞬にして空間が現れるような。 後になって、あの時間は夢だったのだと感じるのなら、私の世界は現実ではなかったの...
 

無意味に生きてやろうじゃないか

私には私を体現することくらいしかできなくて、意味なんか無くて、泣けてきた。 目に見える価値なんか無いんだよ。何にも。 みっともない人生だった、でも生きている。 それが私。だから私を創る。私を描く。 これでだめなら、本当に、私じゃなくてもいい...
 

放浪するキャンバス

小さな部屋に立てかけたキャンバスが私に語る。 置き場所もないくせに、見合わないんだよ。 これ以上は無理かな。なんて。
 

夏の終わりの飴細工

溶けてしまう前に僕を見て。 でも壊れてしまうから触れないで。 ひんやりとした風が時間を連れ去ると、蝉の声が遠のいて、空はもっと高くなった。 遠くから、描く僕の背を見つめるきみと、青い透明の中にずっと。
 

カオスとレプリカ

混沌が光を生むんだよ。 はじまりとその次、2つが並んだとき 観るものは必ず、それを見破る。 いつかは全てが、あるべき場所に必ず還ることを 知っている人たちがいる。 歪みが生まれていることを知りながら 目立たずに、静かに、そのときを待っている...