冬の夜桜

「水面で揺らいでいる月みたいだね」

こんなにも美しい存在があるのかと思った。

すぐ隣にいるのに、遠い目で曇り空を見上げて、きっとわたしには想像もつかないような別世界にいたんだろうね。

きみのも、わたしのも、多分間違っていたんだろうけど、愛の形はいろいろあるらしいから。

この脳に植え付けた、きみの欲望を残してあげる。

わたしからのささやかな贈り物。