朝の空気

包みたいのだと思いました。 ただそこにある空気のように、存在することに気づかなくてもいいし、けれど、微かに触れたならば風が吹いて、一瞬にして空間が現れるような。 後になって、あの時間は夢だったのだと感じるのなら、私の世界は現実ではなかったの...
 

無意味に生きてやろうじゃないか

私には私を体現することくらいしかできなくて、意味なんか無くて、泣けてきた。 目に見える価値なんか無いんだよ。何にも。 みっともない人生だった、でも生きている。 それが私。だから私を創る。私を描く。 これでだめなら、本当に、私じゃなくてもいい...
 

放浪するキャンバス

小さな部屋に立てかけたキャンバスが私に語る。 置き場所もないくせに、見合わないんだよ。 これ以上は無理かな。なんて。
 

夏の終わりの飴細工

溶けてしまう前に僕を見て。 でも壊れてしまうから触れないで。 ひんやりとした風が時間を連れ去ると、蝉の声が遠のいて、空はもっと高くなった。 遠くから、描く僕の背を見つめるきみと、青い透明の中にずっと。
 

カオスとレプリカ

混沌が光を生むんだよ。 はじまりとその次、2つが並んだとき 観るものは必ず、それを見破る。 いつかは全てが、あるべき場所に必ず還ることを 知っている人たちがいる。 歪みが生まれていることを知りながら 目立たずに、静かに、そのときを待っている...
 

肌色が透き通る指先に

「かして。」と、きみの手を引く。 はみ出ないように、呼吸を止めて、汚れないように、そうっと、 黒いマニキュア、僕が塗ってあげる。 そばにいたのに。 髪を乾かしてくれたみたいに、 僕もすればよかった。
 

ダンス

見守られて 私も一緒に揺れて 文字を綴って たまに手を繋いで 大切で 怖くなって いつか離れて 1人になって またここに戻る。 いつもここに。
 

やわらかな夢を

わたしには描きたい絵があって、それはわたしだから描ける絵で、それはわたしにしかできないことで。 生まれてきた意味で、それ以外に理由は要らなくて。 絵を描く時間はそのために使いたい。 それから、もしかすると日常で感じた、ささいな瞬間を描くこと...
 

葉無しの味噌汁

大根の頭を生ごみの袋に入れた瞬間に 頭から黄緑色の柔らかそうな芽が伸びていることに意識が向いて お味噌汁にいれたらよかったかな、なんて後から思った。
 

耳を塞いで笑っていてよ

本当のことなんて、みんな聞きたくないんだ。