生々 香の煙が空中でうねって、わたしを脳内世界に誘いました。 現実なんかよりも、ずっと広大で、入口も出口もありません。 こんな雲のような気持ちの良い場所で、誰かと同化したって、そのときはもうすでに、わたしも誰かも存在しないのだから、逝かないほうが...2024.05.06
太陽を思い浮かべながら眠るなんて 太陽を描きたくて、ただそのままに太陽を描きました。 心なしか光を失った幾何学模様が現れて、捉えたばかりに、きっともう、変わってしまいました。 今更気付いて、夜中の布団の中で、ぼんやりと、そのままを思い浮かべていました2024.05.05
大衆の月を抱く 月には大衆という意味があるらしいです。 多くの人が夜に憧れ、月の引力に惹かれます。 堕ちるのは簡単です。 堕とすのも簡単です。 けれど月を抱きながら、何かを堕とすことなく、存在を保つことはとても難しい。2024.05.04
小さな手 「純粋な本能のままに、生まれてくるのが僕ら。本来の姿でそのままに生きるのも、愛する力を育てながら生きるのも、自由。」 なのだそうで、わたしの理想とやらは、単なる自分勝手に過ぎませんでした。 「愛してるって何なん?」 欲望に忠実なその人はとて...2024.05.04
きっとここは持つものの世界 黒くてごつごつとした洞窟内には、目が眩むほどの色彩で宝石が埋まっていた。 彼らは陽気な声で笑い、歌い、手を取り合って会話をしては、家族のように繋がっている。 その空洞の、真ん中を歩くのは寒かった。 ここは僕が通るための道ではない。 がらんと...2024.05.03
2人乗りのオセロ 朝、通勤、登校時間帯。 デリバリー用の荷台が付いたバイクに、親子が乗っている。 どこかにっこりと誇らしげな表情を浮かべながら、すくっと前を向いて運転をする、父親の後ろで、少しだらしなく首を傾け、スマホに夢中の女子高生。 同じバイクに乗りなが...2024.05.03