嫌われた色

みんなが選ばずに、残った色鉛筆を手に取って、綺麗な絵を描いてあげる。
 

ひとこと

「ありがとうございます」 たった一言交わすだけの接点で 思いがけず贈り物をいただいた 嬉しくて帰り道ずっと、思い返していた
 

女が亡くなった

女が亡くなった途端に彼らは冷たい背を向けた。 目の前にいるのが人間であることを忘れたようで、女に渡そうと手に握っていた花束を土の上に落として帰っていった。 快楽を夢見て果てまで旅をしてきたが、崖の上で女を失い我に返ったそうだ。 まだあたたか...
 

絶望に光る

どうにもならないような現実の中に、けして失うことのない輝きがあるということを自らの人生をもって体現したい。 どんなに優しい言葉も意味を持たなくなる、残酷な現実は常に今この瞬間に重なっている。 悔しいけれど、それが私たちの生きる世界。見ないふ...
 

女々しい満月

女としてこの名前を使うのは何か違和感が残る。 精神的男性としての立場から名乗る方がしっくりとくる。 2つあって自分。
 

言葉が嫌いです

「頑張ってね」なんて、もっと違うことを伝えたかった。 「あぁ、はいはい。頑張る頑張る。」 自分が使った言葉に、くらってしまった。 落ち込んだ。 帰宅してからも、夜眠っていても、ずっとずっと後悔が残って、次は絶対に、そんな言葉を使わないように...
 

真夜中のベンチ真昼のひまわり

切ない思い出に、これでもかという程、明るさを重ね、青い薔薇が欲しいと言われれば、真っ白な霞草を持っていくのが、わたしなんです。 寒くて暗い夜、並んで座った木製ベンチの際に、向日葵が咲いていました。 強烈な紫外線にさらされて、すっかりと木も褪...
 

柑橘系

林檎の香りを嗅ぎたくて、ゴミ箱に入っているのが、所々でちぎれた赤い皮だったら最高なのに、今わたしの目の前にあるのがグレープフルーツだなんてさ。 片手でぽんっと上に投げて、真っ青な空に黄色が浮かぶ。 ナイフで切り込みを入れればもうさわやかすぎ...
 

海の底に触れるまで

わたしのそれを欲しいのなら、自分で探してください。 わたしはそれが欲しいので、この場所を掻き分けて沈んでいきます。 唯一無二を選んで、命の底まで。 失ってしまわぬように、飲み込んでしまわぬように。 おわりはどこかに続いていることを忘れないで...
 

いつかを願わぬ夜の詩

いっそのこと全てが嘘だったらよかったかもな。 再会を願う希望の日に、頭によぎる。 消すことも、信じることもできずに、漂う無数の光が迷子です。 おやすみなさい、あるべきところへ。