空から氷が落ちて来た。
冬でもよく晴れた日は、日焼け対策に帽子をかぶって出かける。
帽子のつばで少し視界が狭くなった私の目の前に、突然、かしゃんっと可愛い音を立てて現れた。
はじめは氷だと気づかず、落ちて来た破片に寄って恐る恐る眺める。
よく見ると、透き通ってキラキラしていた。
なぜ氷…?
上を見上げた途端、細く枝が広がった桜の木から、パラパラといくつもの氷が舞い落ちた。
前日の雨と寒さ、今日の天気が重なって、枝の上にできた氷が溶け出したのだろうか。
手袋を外し破片を手のひらに乗せると
氷はみるみるうちに形を失い
それとひとつになるかのように
温まっていた私の手は感覚を失っていく。
全てが一瞬に寄せ合い、懐かしい気持ちがした。