誰かの恋詩

“一瞬でもいい。ひとつに溶け合うような時を過ごしたい”

“触れられなくてもいい。少し遠くからでも、ずっと目の前で感じていたい”

どちらが幸せ?

世界に2人だけであるかのようなあの時間はきっと、止められない欲求で惹きあって、生まれるのだろうね。

近づいてしまったことを後悔した。

けれどその痛みが、鮮やかな何かを生む。

想いがありながら、距離を保ち、終わりまで続く縁があるのなら、それはどんなものだろうか。

生きているわたしは、命の終わりまで過ごしたことがないのでわからない。

きっとお互いに、いつまでも知らない。

長くいて、わかっているようで、何も知らない。

全てを晒したことで見える美しさも、

何も知らないからこそ美しいままでい続けることも、

とても痛い。