椿とお見舞い

はじめて手に触れたのは小さな男の子 母親が繋ぐ手と反対側に私を握りしめて くるくる回しながら真っ赤な色を眺めていました 親子は待合室のベンチで少し休んで、ボーロを食べたり、絵本を読んだり しばらくしてからまた手を繋いで歩いて行きました 私は...
 

不眠のお供

昨年よりはじまった不眠症。 今日こそは恐怖で目覚めることがありませんようにと、おまじないをするために、お気に入りの本を買いました。 紙の質感、ページをめくる音、本の中に広がる別世界。 何度も同じページを読みます。 最後のページに辿り着くのが...
 

創作動機

創作をしていて心震えるのは。 誰かが、生きていて良かったと、感じられるほんの一瞬を生み出したくて、 わたしは表現、創作を通して活動をしているのだと思います。 主役はわたしでは無く、わたしはここに生きているだけ。 もちろんそんな在り方により、...
 

恋する脳内麻薬

誰にでも起こりうる、人生におけるアクシデントを繰り返し乗り越えた代償により、わたしの脳は脆くなった。 人間はドーパミンに翻弄され恋に落ちるらしい。 そんなありふれた刺激がわたしにとっては命取りになることを知った。 ゆえに、わたしは非常に淡々...
 

夜の森に溶けるなら

真っ黒な蝶々が全身を覆い尽くし、僕の形を吸い取った。 バタバタと空に飛び立つと、そこには青白く輝く骨だけが残って、僕は涙と一緒に、霧よりも細かい、光の粒子に変わるんだ。 残酷な夜に生きて泣いている、誰かの涙とくっついて、柔らかい光が差し込む...
 

白い壁の小さな貼り紙

「言葉を話しましょう。」 壁に並んだ文字は私に話し方を教えてはくれない。 こんなのは中身のないただの記号だ。 もしくはーの自己陶酔。 言葉は私の中をそのまま伝えてくれない。 色鮮やかな脳内を記号にするのはとても難しい。 流れるように進む会話...
 

はじまり

春が終わるのが嫌で、咲かないで欲しかった。 でも今朝、とても晴れていて、散っていく春もいいなと思いました。 残った花を追い越すようにして、新芽は伸びていて、並木道の散歩がとても心地良かった。 遠くに見慣れた背中を発見。 淡いピンクがはらはら...
 

未完成のリアリティ

絵の中に沈んで窒息しそうになります。 呼吸をしたくてもがいていました。 記憶の海で私が終わらないように、今を描こうと思います。 常に、未完成ではありますが、今を見出しながら、いようと思います。
 

太陽の一本道

太陽を見た。 幻影を背に道を歩く。 今は孤独でもここは明るい。 失うことを恐れない。 信じるために。
 

二番目ノ自我

天の城に住むあなたへ 二番目の僕が覚えている 不自由で あなたのように強くはない つぎはぎだらけの心でも 絶対に記憶は離さない 一緒に生きて あなたに夢を見せるよ