日暮の空とモノクロの僕

この空間から、不器用な僕を切り離したくて、外に出た。

冷たい空気が静かに僕を迎えてくれる。

「何やってんだろうなぁ。」

少し前の出来事が、頭の中で繰り返し流れていた。

「俺が話しているとき、すげぇ怖いんだもん。」

検査から帰宅し、結果を話す彼が笑って僕に言った。

どうやら僕は、ひどい顔をして話を聞いていたらしい。

昔から言われる。

“顔が怖い”と。

決して怒っているわけではない、僕は真剣なのだ。

まぁ何でも無いってさ。とか、特に何かする必要もないってさ。と具体的な内容を綺麗に回避するような話しをするので、ついそんな顔になってしまった。

僕はシビアすぎるんだろうな。

夜風に当たりながらひとり、反省会を開いていた。

きっと世の中は、濁しておいた方がいいことが、ほとんどなのだ。

通りでは井戸端会議中の奥様方が玄関前で話をしている。

おそらく、愚痴をこぼしている様に見せかけて、けして話題の核心には触れることのない、大人な会話が成されていのだ。

玄関の奥には来客者を迎えるようにして、大きな絵画が立てかけてあるのが見えた。

「寒っ‼︎」

12月、あんなに暖かな冬だったのに、急に冷え込んで少し騙された様な気分。

帰宅後、クリスマスツリーの明かりと、小さなライトが光る薄ぼんやりとした部屋で酒を飲んでいると、何も言わずに部屋の明かりを灯し、彼は去っていった。

「ありがとう。」

想いにふけっていた僕が遅れて咄嗟に伝えると、

あぁいいよ、と少し離れた部屋の奥から彼の声がした。