2024-01

 

愛。そこにあるもの。

愛とは何ですか? 愛について聞いてみた。 「それは、包み込まれるようなもの。」 「自分と同じ感情が、そこにもあったと知れたときに愛を感じる。」 「尊重や自由。」 「本能は?愛?」 「本能は欲望でしょ。」 「例えばその愛の色が黒でしかなかった...
 

きいてはいけない子守唄

もういいかな。疲れたし。 なんて思う時もある。 ブラックホールに抱かれてこのまま眠ってしまおうか。 知っているんだ。 この子守唄は聴いたらいけないってこと。 私には作りたいものがあって 残したい絵があって だから与えられたこの命を まだ生き...
 

クロス

顔がモザイクで覆われた救世主の、口から吐いた黒い蜘蛛に、縛られてやった。 自由を封じ、触れてはいけない扉をこじ開け、禁忌を犯すことを善とする。 高揚しながら、腹の中で虫が騒いでいることにすら、気づかないのだから笑える。 神に憧れる哀れな中年...
 

僕を見抜いて

何かを否定することなく、心に賛美し、触れ合いたいんだ。 でも不可能なのかも。 だからその方法を模索している。 上部の言葉に飽きたんだ。
 

偽物も本物も揺らいでいました。 時を刻む音に合わせて、振り子の様に蠢いていました。 惑うことのない真実は隙間にありました。
 

濁りのない時間

美しくて、忘れられない記憶はどうやったら残せるのだろう。 悲しみの感情や痛みを伴うものは抵抗することもできず、刻まれてしまう。 それを抱えて生きるために、後付けで想い出を書き替え、美化するような記憶ではなく。 美しすぎて、優しすぎて、眩しい...
 

ふたつの目

片方の目はいつも、仮想世界を愛していました。 もう片方の目はいつも、ただ現実を知るために、在りました。 どちらも真実で、それは愛でした。
 

夜明けの公園で宇宙に浮かぶ

誰もいない明け方の公園。 広いグラウンドのど真ん中で、高く、できるだけ高く君を抱き抱え、くるくると回った。 夜明けの空を背景に、笑顔を見る。 その瞬間、僕たちは一緒だった。 宇宙に浮かぶたったひとつの星みたいに。
 

氷舞い散る桜の木

空から氷が落ちて来た。 冬でもよく晴れた日は、日焼け対策に帽子をかぶって出かける。 帽子のつばで少し視界が狭くなった私の目の前に、突然、かしゃんっと可愛い音を立てて現れた。 はじめは氷だと気づかず、落ちて来た破片に寄って恐る恐る眺める。 よ...
 

朽ちた林檎の甘い蜜

林檎は熟れた。 そして腐ることを選んだ。 自ら望んだ。 甘い液体が命を誘う。 林檎は溶けていた。