〝一番の贈り物はあなたと同じ時を過ごした記憶〟
なんて思っていることを知りもしない昼間の月。
呑気にぼんやり浮かんで、私を見ている。
「君、今日に限っては特に、見向きもされていないぞ。今にも霞んでしまいそうな色をして。見上げているのは私くらいだ。」
ガラス越しにひんやりと、冷えた空気をかすかに感じる。
窓の外は賑やかだ。
浮き足たった空気をBGMに、暖かい部屋で過ごす。
ハンドクリームの香りに包まれ、飲み物と本を用意した。
静かに時を刻む、秒針の音が似合いそう、
と思ったけれど、この部屋に時計は置いていないので気分だけ。
「日が暮れないうちに、もっともっと光ってみてよ。」
水色をした空に、輝く月を見てみたくなった。