2024-05

 

何かが変わってしまう明日

明日は、そんな日で、なんだか不安です。 明日が怖いのはきっと、私よりも他にいて、こんな小さな感情に揺れているだけの自分を薄情に感じました。 明日になっていいのかな。 何も変えられないのに、そんなことを問いかけて。 夜なので、静かに歌をうたい...
 

同じと嫌いと違う好き

わたしと同じで、醜さも一緒で、見たくない自分が目の前にいるみたいな人を抱きしめる。 わたしと全然違って、理解するのが難しく、知らない世界を生きてきた人を抱きしめる。 どちらが難しいんだろう。
 

呼吸をしたいんだ

限られた時間の中に詰め込まれた行事をこなせるほど、器用になれず、ぼくは人間ではないのでしょうか。手のひらにひとつずつしか乗せられなくて、みんなはずっと遠くを歩いていて、走っても走っても、ずっとそこにある景色だけが、ぼくと一緒に枯れていく。進...
 

左手の短い爪とDコード

ふいにギターを弾きたくなった。 短い指が少しでも長く見えるようにと、手入れして伸ばした爪を切って、弦を押さえる。 コードは押さえられず、濁った音のまま、下手くそな歌で、楽しんだ。 遊びって、こうゆうの。 閉店セールで一万円になっていた、白い...
 

自然界に真球が存在し難いのなら

生まれてこの方、人を愛したことなんて、ないんです、きっと。 向き合ううちにだんだんと、愛することも、愛されることも、傲慢であるようにさえ思えて、力んだ肩を緩ませて、空を仰ぎます。 特別晴れてもいない、絵筆を洗った後の水のような色。 変わらず...
 

叫ぶ

“生まれてなんて、きたくなかった” と、産声をあげた。 血を巡らせ、細胞は分裂を繰り返し、奇跡的な生命力に、半ば強制的に突き動かされるようにして、僕らが始まった。 誕生してしまったからには、やりきるしかないのだと腹を括る。 何かを傷つけ、自...
 

生々

香の煙が空中でうねって、わたしを脳内世界に誘いました。 現実なんかよりも、ずっと広大で、入口も出口もありません。 こんな雲のような気持ちの良い場所で、誰かと同化したって、そのときはもうすでに、わたしも誰かも存在しないのだから、逝かないほうが...
 

ルービックキューブ

心臓が鼓動するみたいにして、カチカチと音が鳴る。 側面に見せる色を変えて、きみと、話をした。 色が反射して、とても綺麗だ。 向こう側に隠れた色も、僕に見せてよ。
 

太陽を思い浮かべながら眠るなんて

太陽を描きたくて、ただそのままに太陽を描きました。 心なしか光を失った幾何学模様が現れて、捉えたばかりに、きっともう、変わってしまいました。 今更気付いて、夜中の布団の中で、ぼんやりと、そのままを思い浮かべていました
 

宙ぶらりん

途切れ途切れになりながら、弾いた音を真似する右手。 ひとつに束ねられていく時の傍ら、取り残された左手に恋をした。