言葉の隙間∞記憶を繋ぐ
小さな手
「純粋な本能のままに、生まれてくるのが僕ら。本来の姿でそのままに生きるのも、愛する力を育てながら生きるのも、自由。」 なのだそうで、わたしの理想とやらは、単なる自分勝手に過ぎませんでした。 「愛してる…
月の砂
運命なんて存在しない。 と、知った月は嬉しくなった。 これからは話をしよう。 夜空を見上げて鳴いている白猫が 眠りにつくまで。
きっとここは持つものの世界
黒くてごつごつとした洞窟内には、目が眩むほどの色彩で宝石が埋まっていた。 彼らは陽気な声で笑い、歌い、手を取り合って会話をしては、家族のように繋がっている。 その空洞の、真ん中を歩くのは寒かった。 こ…
2人乗りのオセロ
朝、通勤、登校時間帯。 デリバリー用の荷台が付いたバイクに、親子が乗っている。 どこかにっこりと誇らしげな表情を浮かべながら、すくっと前を向いて運転をする、父親の後ろで、少しだらしなく首を傾け、スマホ…
愛されたい誰かへ
わたしは誰かが心から求めているような、愛は持ち合わせていません。 けれど誰かから必死に愛を教わらなくてはならない程、愛がないわけでもありません。 ごく平凡に、残酷に、身勝手に、純粋に、人間をしています…
3部作
少し前には馴染みのなかったAIも、あっという間に普及。 心(神?)を作りたいプログラマー、いや、神になりたい心? それを活用する私たちも、生みたくて仕方がない。 お金を払ってカウンセラーに話をしに行っ…
主婦のつぶやき
夕方、まな板の上で具材を切る音がする。 「◯◯◯は◯◯。◯◯なんて◯◯◯◯だ。」 誰も褒めてはくれない料理をしながら書いた、主婦の投稿はバズって、ポジティブだろうとネガティブだろうと、彼女の中にあった…
創造欲求
欲求に突き動かされた果てに、命となった。 芸術なんてものにそれを使い、非効率にもほどがある。 人生に効率を求めるならば、皆んな生まれたらすぐに墓に入ること。 それが最も効率的な生き方である、と誰かが言…
一人称
男性が言う「私」を言いたい。 でも女である私には言えない。 ふと、思っただけです。
雑草
つつじの生垣の下に茂った、雑草を丁寧に刈り取っている人がいました。 多分ボランティア。 緑がなくなって、さらさらと平らに広がる土が綺麗でした。 砂利道の石の隙間をぬって生えた雑草に、ジョウロで水をあげ…