言葉の隙間∞記憶を繋ぐ
呼吸をしたいんだ
限られた時間の中に詰め込まれた行事をこなせるほど、器用になれず、ぼくは人間ではないのでしょうか。手のひらにひとつずつしか乗せられなくて、みんなはずっと遠くを歩いていて、走っても走っても、ずっとそこにあ…
左手の短い爪とDコード
ふいにギターを弾きたくなった。 短い指が少しでも長く見えるようにと、手入れして伸ばした爪を切って、弦を押さえる。 コードは押さえられず、濁った音のまま、下手くそな歌で、楽しんだ。 遊びって、こうゆうの…
自然界に真球が存在し難いのなら
生まれてこの方、人を愛したことなんて、ないんです、きっと。 向き合ううちにだんだんと、愛することも、愛されることも、傲慢であるようにさえ思えて、力んだ肩を緩ませて、空を仰ぎます。 特別晴れてもいない、…
叫ぶ
“生まれてなんて、きたくなかった” と、産声をあげた。 血を巡らせ、細胞は分裂を繰り返し、奇跡的な生命力に、半ば強制的に突き動かされるようにして、僕らが始まった。 誕生してしまったからには、やりきるし…
生々
香の煙が空中でうねって、わたしを脳内世界に誘いました。 現実なんかよりも、ずっと広大で、入口も出口もありません。 こんな雲のような気持ちの良い場所で、誰かと同化したって、そのときはもうすでに、わたしも…
ルービックキューブ
心臓が鼓動するみたいにして、カチカチと音が鳴る。 側面に見せる色を変えて、きみと、話をした。 色が反射して、とても綺麗だ。 向こう側に隠れた色も、僕に見せてよ。
太陽を思い浮かべながら眠るなんて
太陽を描きたくて、ただそのままに太陽を描きました。 心なしか光を失った幾何学模様が現れて、捉えたばかりに、きっともう、変わってしまいました。 今更気付いて、夜中の布団の中で、ぼんやりと、そのままを思い…
宙ぶらりん
途切れ途切れになりながら、弾いた音を真似する右手。 ひとつに束ねられていく時の傍ら、取り残された左手に恋をした。
大衆の月を抱く
月には大衆という意味があるらしいです。 多くの人が夜に憧れ、月の引力に惹かれます。 堕ちるのは簡単です。 堕とすのも簡単です。 けれど月を抱きながら、何かを堕とすことなく、存在を保つことはとても難しい…
人間鮮度
「見てよ、この、鮮やかなほうれい線を。」 「いいね、その表現。」 彩豊かに生きましょう。