僕(ら)の初恋

凛とした女性に手を引かれ、未来へと歩いていく夢を見ました。

୨♥୧

その女性は柔らかな素材の白いワンピースをまとい、身体の輪郭がぼやけるほどに発光していました。

彼女の右手はすでに誰かの手を握っていて、私はそれを眺めています。

寂しさから目を背け、うつむきかけた私を救い上げるかのように、彼女はもう片方の手で、私と手を繋ぎます。

〝一緒に歩こう〟

言葉は無く、私の胸へ鼓動するように、彼女の想いが伝わってきます。

そして繋いだ手を、ふわりと広がるワンピースの袖で、覆い隠してくれました。

私たちを引いて歩く彼女は、真っ直ぐで活力に満ちた瞳をしています。

その姿を見ているだけで、強くなれるような気がしました。

未来を信じて生きていけるような気がしました。

明け方の夢の中。

私、僕と、歩いてください。

2人で1人の物語。

୨♥୧

心奪われて時が止まるとはこのことです。

彼女に釘付けだよ。

おわり。