雪の記憶

去年の冬は一緒に雪を見たんだっけ。

曖昧になっていく記憶を悲しく思った。

絵ばかり描いて、せっかくの雪景色に見向きもしない自分が嫌で、

夕方、青く空気が染まる頃ベランダに出る。

ワンピースの下のヒートテックが一瞬にして冷えた空気を吸い込み、体温をたちまちに奪っていった。

細い枝に積もった雪が綺麗。

2人なら子供みたいに、はしゃいだのかな。

音のしない景色に背を向け、暖かい部屋に戻った。