言葉の隙間∞記憶を繋ぐ
濁りのない時間
美しくて、忘れられない記憶はどうやったら残せるのだろう。 悲しみの感情や痛みを伴うものは抵抗することもできず、刻まれてしまう。 それを抱えて生きるために、後付けで想い出を書き替え、美化するような記憶で…
ふたつの目
片方の目はいつも、仮想世界を愛していました。 もう片方の目はいつも、ただ現実を知るために、在りました。 どちらも真実で、それは愛でした。
夜明けの公園で宇宙に浮かぶ
誰もいない明け方の公園。 広いグラウンドのど真ん中で、高く、できるだけ高く君を抱き抱え、くるくると回った。 夜明けの空を背景に、笑顔を見る。 その瞬間、僕たちは一緒だった。 宇宙に浮かぶたったひとつの…
氷舞い散る桜の木
空から氷が落ちて来た。 冬でもよく晴れた日は、日焼け対策に帽子をかぶって出かける。 帽子のつばで少し視界が狭くなった私の目の前に、突然、かしゃんっと可愛い音を立てて現れた。 はじめは氷だと気づかず、落…
朽ちた林檎の甘い蜜
林檎は熟れた。 そして腐ることを選んだ。 自ら望んだ。 甘い液体が命を誘う。 林檎は溶けていた。
空の構造
空を描いていて思いました。 自然は、それを縮小した形の集まりで構成されているのだろうなと。 雲を観察していると、おおきなまとまりの中に、それと同じ形の小さなまとまりが存在していることに気づきます。 そ…
満ち震え、ため息をつく
最近、朝起きてから日暮れまでひたすらに絵を描き続けています。 過剰な程の集中力を発揮している代償として、ついに頭が震えるようになってきました。 これは危険信号です。 休憩しなくては。 ですが震える私の…
刺激と余韻
触れている瞬間に刺激を感じるものが、必ずしも余韻を残すわけではない。 目の前にあるときには、平凡で、どこか物足りない。 けれど日常に戻ってから、その世界観が心に残り続けることがある。 エキサイティング…
隙間から虫を覗く
「ぎゃーーーー!!」 子供の叫び声。数秒おきに聞こえてくる。 「ぎぃいやーーーー!!」 土の上に置かれた丸太をどかして、子供が地面を覗いていた。 虫がいるのを知っていて、何度も丸太をどかしては叫び、急…
強烈な平凡
「何があっても愛しているよ」 愛してなんか、くれなくていいから、僕を苦しめないでくれ。 「生まれてきてくれてありがとう」 大切な言葉をどうか、震える声で語らないでくれ。 通話越し、目の前にいない相手に…