言葉の隙間∞記憶を繋ぐ
旅のゆりかご
「近日中に伐採予定」 大人が2人で両手を回し囲んでも、届かないくらいに大きくなった桜の木。 張り紙が括られたロープが巻き付けられていた。 原因はきのこ。 根を腐らせているそうで、大木が倒れる前に伐採す…
DISJOINT
※映画「リズと青い鳥」より 幼さをのこした彼女たち。 原石のままでは不揃いで、2人の音はすれ違っていた。 dis joint 違いを知り、願いを緩める。 そして、もう一度あなたと。
朝日を背に見る健気な星
子供から大人まで、その時間が来るまで待機して、同じ風景に目を向けていた。犬たちは時折吠えて、戯れたい気持ちをなだめられながら、早く散歩をしたそうにしている。 知り合いのご夫婦も来ていて、いつもと変わら…
ひとりきりの演奏会
1人には広すぎる家に、1人きり。 頭を抱え、ソファーに横になって過ごす年末。 「痛ぁ…。」 幸い天気は良好。 活気よく動くことができない、私の気持ちをいくらか和らげてくれていた。 年末といえば今年を振…
先行くね
この世界に生まれることを少しためらっていました。 けれど先に生まれて待っていることを約束しました。 「もうすぐここのお家にも、赤ちゃんが来るはずなんだけど…」 幼い私の未来予知です。 時が経ち、そんな…
曲がり角
ビクッ!!! 角を曲がると、生垣の影に小学生がしゃがんで隠れていました。 私も、その子も、お互いにびっくり。 鬼ごっこをしているようです。 慌ててペコリとお辞儀をする小学生。 わたしもペコリ。 そんな…
覚えのない贈り物[宛先:誰かの心の底番地]
送った覚えのない、毛布が届いたみたい。 いつもとは違うメッセージを読む。 何もできない自分をもどかしく思いながら、返事がない間もスマホを握りしめていた。 辛い時に、綺麗な言葉なんて、探さなくていいのに…
静かな青い星
怖いことも、苦しいことも、なくなったらどんな世界かなって、考えていた。 誰も争わなくていいの。 怯えなくていいの。 時間がゆっくり流れていそう。 多分幸せはもっと小さくなって、今よりたくさん顔を出すん…
ゴミの花を纏う
香料を作る際に廃棄される原料から、作り出された香水。「ゴミの花」 名前のセンスにどハマりしました。 美を演出するための香水が、汚れを連想させる名前をあえて掲げていることに、気高さを感じます。 “I a…
主役は水色お空のおつきさま
〝一番の贈り物はあなたと同じ時を過ごした記憶〟 なんて思っていることを知りもしない昼間の月。 呑気にぼんやり浮かんで、私を見ている。 「君、今日に限っては特に、見向きもされていないぞ。今にも霞んでしま…