壁をくれ

デニムばかり履いていた姉が、気まぐれに、ふわっと揺れるワンピースを着た。 「なんだかおしゃれになったね。」 何色だかわかんないあなたの目の色、変えないで欲しかった、 なんて思いながら、背中を震わせて微笑んでたことを知っているのは僕くらい。
 

めめのめ

見る罪。 アイマスクをすれば仲良くなれますか。 でも悲しいことに、それでもきっと見ることからは逃れられません。 なのでせめて、見えた全てを両手で包んでみました。 手のひらは熱くて、痛くて、閉じた瞼の隙間からは感情が溢れて、それでも静かに、た...
 

人体

見て描くのはできるので、脳内を描きたいです。 でもまだまだ甘くて、もっと脳内の解像度を上げたいのと、脳と指先の接続神経を強化したいです。 私は100%出力ができないので、分析とロジックを積み重ね、感覚を駆使して描いています。 人は矛盾した生...
 

continue

ほんとうは、はじめから、宝箱なんてどこにも無い、迷路。
 

傷つけるためにある棘を刺して、黒い場所に穴があいて、痛みを知って、もがいて、癒えていくために生きている。 棘は知ってるよ。 いつかきみが追い越して、歩んでいくことを。 ありがとうなんて、みじめな言葉を言わないでって、近付くものなら、また。
 

ただ雨である

必要とされるために歌をうたう小鳥が 自分のために咲いた花の、木の実を食べた。 それ以外に何を語ればいいんだろう。 小鳥は歌えなくなって、花も咲かない。 ただ、みんなだまって、凍りついたみたいに、生まれる日を待っている。
 

じわる

じわる人になりたい。 奇抜さや、パッと目を惹く、華やかさは多分無いので、せめて素朴なくせに、なんか癖になるような人間に。 あぁ。 そうなりたいなんて、言っている時点で、なんだか駄目な気がしてきました。 残念です。
 

頭の中覗かせていただきたい

散歩中、向かいから歩いてきたおばあちゃまが、私の目の前で急に立ち止まり、通り過ぎる私の顔をじーっと見つめていた。 十分程歩くと、また別のおばあちゃまがじーっ。 今日は不思議な日。 ほっぺに口紅でもつけていたかな?と思ったんだけど、帰ってから...
 

色と音と遊びの家

画材が揃うアトリエと、楽器が並ぶ防音室。 お気に入りのアナログなパズルゲームなんかも揃っていて、仲間が集う。 わたしはそこに住んでいて、でも、ずっとそこにはいない。 個展のために各地を放浪していたかと思えば、アトリエに引きこもり、気が済むま...
 

両片思いの音がした

好きな時に気にせずに、すきなだけ、ピアノを弾ける環境が欲しい。 すっかりと硬くなった鍵盤と、阻まれて、歩み寄れないわたし。 雨と、差し込む光の間に漂って、音が泣く。 “いつか”は、指先に、思ったよりも早く皺を刻むから、鳴らせなくても指を置い...