2024-04

 

夜の森に溶けるなら

真っ黒な蝶々が全身を覆い尽くし、僕の形を吸い取った。 バタバタと空に飛び立つと、そこには青白く輝く骨だけが残って、僕は涙と一緒に、霧よりも細かい、光の粒子に変わるんだ。 残酷な夜に生きて泣いている、誰かの涙とくっついて、柔らかい光が差し込む...
 

白い壁の小さな貼り紙

「言葉を話しましょう。」 壁に並んだ文字は私に話し方を教えてはくれない。 こんなのは中身のないただの記号だ。 もしくはーの自己陶酔。 言葉は私の中をそのまま伝えてくれない。 色鮮やかな脳内を記号にするのはとても難しい。 流れるように進む会話...
 

はじまり

春が終わるのが嫌で、咲かないで欲しかった。 でも今朝、とても晴れていて、散っていく春もいいなと思いました。 残った花を追い越すようにして、新芽は伸びていて、並木道の散歩がとても心地良かった。 遠くに見慣れた背中を発見。 淡いピンクがはらはら...
 

未完成のリアリティ

絵の中に沈んで窒息しそうになります。 呼吸をしたくてもがいていました。 記憶の海で私が終わらないように、今を描こうと思います。 常に、未完成ではありますが、今を見出しながら、いようと思います。
 

太陽の一本道

太陽を見た。 幻影を背に道を歩く。 今は孤独でもここは明るい。 失うことを恐れない。 信じるために。
 

二番目ノ自我

天の城に住むあなたへ 二番目の僕が覚えている 不自由で あなたのように強くはない つぎはぎだらけの心でも 絶対に記憶は離さない 一緒に生きて あなたに夢を見せるよ
 

Lily

僕の中の黒いリリィ 「私を刺して」と僕を見つめる 言葉とは真逆に突きつけられた針は 僕の首に触れていて 涙をこぼしながら待っていた きみを愛している
 

独走と着地

自分が自分を生きられていないことに、泣きたくなる。 壁にぶち当たって、息苦しくて、偽物であることはわかるのに、自分がどこにいるかがわからない。 僕は可愛い絵よりもかっこいいを描きたい私なんです。 別に何かになりたいわけではなく、私でありたい...
 

春の蒸発

雨に濡れた桜の下、視界の片隅に誰かがいた。 太陽の光を吸い込む月みたいに、花びらは雨を含んでしっとりと重たくなっている。 イヤフォンから流れる音楽は春と私を切り分けて、孤独を語りかけてきた。 とても幸せだ。 太陽がのぞけば蒸発して、春はまた...
 

光の罪

涙をこぼしながら道端を歩く彼女は、死ぬまでひとりぼっち この世界にも、カオスがあればよかったのに 閉じ込められた愛が抱きしめたいと叫んでも 僕が触れているのはクマのぬいぐるみ 存在とは残酷なものだね くだらない十字架を背負って、鼓動している...