帰路

部屋の天井に黒い粒があって、私を見ています。

恐れて目を背けていますが、多分それは美しさを憎んだ、てんとう虫です。

生きている時と何も変わらぬ姿で、もう数年が経っていました。

私の生々しさが崩れる日を待ちわびています。

川を渡れば、君を愛している証拠になりますか。

きっと向こう岸で私を抱きしめて言うのでしょう。

君が憎くてたまらないって。