2024-03

 

gift

夜は湖に浮かび、顔を出して灯りを眺めている。 たとえ愛を飲んで沈んでも、朝は夜の命を信じている。 夜の存在を信じている。 けれど夜の目の前で、この愛を体現するのは朝ではない。 夜が愛すべきは朝ではない。 朝にとっても夜ではない。 夜は湖から...
 

雪の手紙

だから僕は言葉を飲む。 ずっと全部を胸いっぱいに想っていたい。 だって、好きという言葉は感情を奪って行く。 嬉しいという言葉が、僕らの喜びを溶かして行く。 そのままでいたい。 そのまま。
 

綴る意味

「意味はあるんだろうか」 行く先が見えないときに人は問う。 ここに私が書く意味は? あまり意味はない。 偶然立ち寄った見知らぬ誰かが、今日の私の文章を見て 「何これ」と、ぼそっと言って閉じる。 数秒後には忘れているし、何なら読んでも何も伝わ...
 

雨の夜に月と眠る

外で雨音がして月を部屋の中に隠した。 ぼんやりと空気を照らしていて、この色はわたしだけが見ている。 外は冷たいから、ひとりっていいなと思った。
 

静寂の鍵

お互いの鍵を持っている出会いがある。 出会いの合図は、一瞬、時が止まること。 存在しない、美しい音が聞こえること。 多分お互いの世界がリンクして、一瞬違う次元に飛ぶ。 過去や未来のプログラムに必要なキーワードをお互いに組み込んでいくの。抗え...