春の蒸発

雨に濡れた桜の下、視界の片隅に誰かがいた。

太陽の光を吸い込む月みたいに、花びらは雨を含んでしっとりと重たくなっている。

イヤフォンから流れる音楽は春と私を切り分けて、孤独を語りかけてきた。

とても幸せだ。

太陽がのぞけば蒸発して、春はまた、生き返る。