棘 傷つけるためにある棘を刺して、黒い場所に穴があいて、痛みを知って、もがいて、癒えていくために生きている。 棘は知ってるよ。 いつかきみが追い越して、歩んでいくことを。 ありがとうなんて、みじめな言葉を言わないでって、近付くものなら、また。2024.04.21
ただ雨である 必要とされるために歌をうたう小鳥が 自分のために咲いた花の、木の実を食べた。 それ以外に何を語ればいいんだろう。 小鳥は歌えなくなって、花も咲かない。 ただ、みんなだまって、凍りついたみたいに、生まれる日を待っている。2024.04.21
じわる じわる人になりたい。 奇抜さや、パッと目を惹く、華やかさは多分無いので、せめて素朴なくせに、なんか癖になるような人間に。 あぁ。 そうなりたいなんて、言っている時点で、なんだか駄目な気がしてきました。 残念です。2024.04.18
頭の中覗かせていただきたい 散歩中、向かいから歩いてきたおばあちゃまが、私の目の前で急に立ち止まり、通り過ぎる私の顔をじーっと見つめていた。 十分程歩くと、また別のおばあちゃまがじーっ。 今日は不思議な日。 ほっぺに口紅でもつけていたかな?と思ったんだけど、帰ってから...2024.04.17
色と音と遊びの家 画材が揃うアトリエと、楽器が並ぶ防音室。 お気に入りのアナログなパズルゲームなんかも揃っていて、仲間が集う。 わたしはそこに住んでいて、でも、ずっとそこにはいない。 個展のために各地を放浪していたかと思えば、アトリエに引きこもり、気が済むま...2024.04.17
両片思いの音がした 好きな時に気にせずに、すきなだけ、ピアノを弾ける環境が欲しい。 すっかりと硬くなった鍵盤と、阻まれて、歩み寄れないわたし。 雨と、差し込む光の間に漂って、音が泣く。 “いつか”は、指先に、思ったよりも早く皺を刻むから、鳴らせなくても指を置い...2024.04.17
椿とお見舞い はじめて手に触れたのは小さな男の子 母親が繋ぐ手と反対側に私を握りしめて くるくる回しながら真っ赤な色を眺めていました 親子は待合室のベンチで少し休んで、ボーロを食べたり、絵本を読んだり しばらくしてからまた手を繋いで歩いて行きました 私は...2024.04.16
不眠のお供 昨年よりはじまった不眠症。 今日こそは恐怖で目覚めることがありませんようにと、おまじないをするために、お気に入りの本を買いました。 紙の質感、ページをめくる音、本の中に広がる別世界。 何度も同じページを読みます。 最後のページに辿り着くのが...2024.04.14
創作動機 創作をしていて心震えるのは。 誰かが、生きていて良かったと、感じられるほんの一瞬を生み出したくて、 わたしは表現、創作を通して活動をしているのだと思います。 主役はわたしでは無く、わたしはここに生きているだけ。 もちろんそんな在り方により、...2024.04.14
恋する脳内麻薬 誰にでも起こりうる、人生におけるアクシデントを繰り返し乗り越えた代償により、わたしの脳は脆くなった。 人間はドーパミンに翻弄され恋に落ちるらしい。 そんなありふれた刺激がわたしにとっては命取りになることを知った。 ゆえに、わたしは非常に淡々...2024.04.14